別府温泉(べっぷおんせん)は、大分県別府市(旧国豊後国速見郡)の市内各地に数百ある温泉の総称。
別府温泉(べっぷおんせん)は、大分県別府市(旧国豊後国速見郡)の市内各地に数百ある温泉の総称。別府八湯(べっぷはっとう)、別府温泉郷(べっぷおんせんごう)とも呼ばれる。温泉都市として知られる別府は、源泉数、湧出量ともに日本一[注釈 1]。
別府温泉はまた、広義の別府温泉(別府八湯)を構成する温泉のうちの別府市中心部にある温泉街の名称でもある(#別府温泉参照)。
概要[編集]
泉都とも呼ばれる別府市には、鶴見岳(標高1,375m)とその約4km北にある伽藍岳(別名硫黄山、標高1,045m)の2つの火山の東側に多数の温泉が湧き出ている。また、奇観を呈する自然湧出の源泉を観光名所化した別府地獄めぐりなど観光スポットも充実しており、別府市には毎年800万人を超える観光客が訪れる[2]。豊かな温泉資源は観光や、市民生活だけでなく、古くは明礬の生産から、地熱発電、医療、花き栽培、養魚業、最近では温泉泥美容まで、様々な産業に幅広く利用されている。
別府八湯[編集]
別府市内には、おのおの泉質や雰囲気を異にした温泉が数百あるが、それらは歴史の異なる8箇所の温泉郷を中心に分布しており、これらを総称して別府八湯と呼んでいる[注釈 2]。
別府八湯では、毎年4月のはじめに別府八湯の豊かな温泉の恵みに感謝して別府八湯温泉まつりが開催されている。また、2001年(平成13年)から開催されている別府八湯温泉泊覧会(オンパク)や、別府八湯の選び抜かれた温泉施設から88湯に入浴し、温泉道名人の認定を目指す別府八湯温泉道という体験型イベントがある。
別府温泉[編集]
別府(べっぷ)温泉は、JR別府駅周辺に位置する温泉街である。駅に近く交通の便がよい。単純泉、食塩泉、重曹泉、重炭酸土類泉など多数の温泉が湧き、各泉質に応じて効能がある。地元住民を対象とした町内会経営の共同温泉も多く、観光客も利用できる。温泉街は別府八湯の中では最も歓楽的な要素が強く、夜になれば飲食店や別府タワーなど繁華街のネオンが煌く。
元寇の役の戦傷者が保養に来たという楠温泉など、古くから流川の川沿いにいくつもの温泉が湧き出し、江戸時代後期の温泉番付にも登場する。昔の別府の玄関口旧別府港(楠港)の開港とともに発展した温泉街で、旧港の近くには入母屋破風の外観を持つ市営温泉「竹瓦温泉」があり、温泉のほかに砂湯(温泉で温められた砂を体にかけてもらう)が楽しめる。竹瓦温泉と竹瓦小路木造アーケードは、「別府温泉関連遺産」として、2009年(平成21年)2月6日に近代化産業遺産に認定されている。鎮守神である温泉神社は現在は八幡朝見神社に合祀されており、楠港の開港時にまつられた波止場神社は竹瓦温泉の北にある。
浜脇温泉[編集]
浜脇(はまわき)温泉は、朝見川の河口一帯にある温泉街で、JR東別府駅(浜脇駅として開設された)の前の海沿いに位置する。市営温泉「浜脇温泉・湯都ピア浜脇」がある他は、小さな共同温泉が多い。
現在は名前の由来となった砂浜に温泉が湧く様子は見られないが、鎌倉時代には八幡朝見神社の門前町として栄え、大友氏が温泉奉行を置いて温泉を整備した。江戸時代後期の1817年(文化14年)に書かれた温泉番付「諸国温泉功能鑑」では、西の前頭三枚目で別府温泉よりも上位にランキングされ、河口の船溜も湯治舟で賑わっていた。炭酸水素泉、塩化物泉など。
観海寺温泉[編集]
観海寺(かんかいじ)温泉は、朝見川上流の山の斜面の古い街道沿いにある温泉街で、別府湾の見晴らしがよい。単純泉、含重曹食塩泉で神経痛・リューマチに効能がある。大型リゾートホテル杉乃井ホテルと、室内温水プールアクアビート、ボウリング場、劇場や大展望露天風呂などのレジャー施設が並ぶ。
堀田温泉[編集]
堀田(ほりた)温泉は、観海寺温泉のさらに奥、由布院温泉へ向かう九州横断道路(やまなみハイウェイ)沿いにある源泉地帯で、江戸時代に開かれた静かな山の湯治場である。湯量が豊富で、別府市内の共同温泉などへの給湯もされている。大分県道52号別府庄内線沿いに市営温泉「堀田温泉」がある。泉質は、弱酸性低張性高温泉、硫黄泉である。
明礬温泉[編集]
明礬(みょうばん)温泉は、別府市街から少し離れた伽藍岳中腹の標高400mの所にある地熱地帯で、その名の通り江戸時代から明礬(湯の花)が採取されてきた山の温泉街。急傾斜の地熱地帯に別府石の石垣が築かれ湯の花小屋が建ち並び湯けむりの立ち込める明礬温泉の景観は、鉄輪温泉とともに別府の湯けむり・温泉地景観として国の重要文化的景観に選定されている[3]。湯の花の採取施設である湯の花小屋は、一部見学が可能である。泉質は、酸性硫化水素泉、緑ばん泉で神経痛・リューマチ・皮膚病に効能があり、市営温泉「鶴寿泉」がある。コロイド硫黄を含んで白濁した温泉が多いが、別府温泉保養ランドでは美肌効果の高い『ドロ湯』が味わえる。
別府明礬温泉の湯の花製造技術は、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
鉄輪温泉[編集]
鉄輪(かんなわ)温泉は、別府市街と明礬温泉との中間にあり、いまだに湯治の雰囲気を残す温泉街。貸間旅館が建ち並び随所から湯けむりの立ち上る鉄輪温泉の景観は、明礬温泉とともに別府の湯けむり・温泉地景観として国の重要文化的景観に選定されている[3]。
湯治客は貸間旅館にある温泉の蒸気を利用した装置「地獄釜」で自炊しながら長逗留する。温泉の蒸気は部屋の暖房にも使われている。周辺に多様な地獄が存在することから分かるように、泉質も単純泉、食塩泉、炭酸鉄泉など多彩である。岩風呂・砂湯・瀧湯・露天風呂など、さまざまな温泉が楽しめる外湯のひょうたん温泉を代表に、大小多数の温泉施設や、食材の持ち込みも可能で手軽に地獄釜を利用できる地獄蒸し工房もある。別府地獄めぐりの中心に位置し、周辺には海地獄、鬼石坊主地獄、山地獄、かまど地獄、鬼山地獄、白池地獄などの観光施設や、大衆演劇の芝居小屋ヤングセンターなどの娯楽施設も存在する。鉄輪地獄地帯公園の付近には日本で最初の地熱発電に用いられた泉源跡があり[4]、また、野菜・花きの温泉熱利用による栽培、育種の研究が行われている花き研究所がある。
開湯伝説によれば、鎌倉時代広大な地獄地帯であったこの地を一遍が火男火売神社の祭神の導きで最初に整備したとされ、市営温泉「鉄輪むし湯」の向かいには、一遍が開いたとされる蒸し湯跡が今も残る。毎年9月には鉄輪湯あみ祭りが開催され、むし湯のそばの温泉山永福寺では、上人像を渋の湯などで洗い清める「湯あみ法要」が行われる[5]。温泉街の山手の坂を登った先には温泉神社がある。
柴石温泉[編集]
柴石(しばせき)温泉は、血の池地獄や龍巻地獄の一帯にある由緒ある温泉で、895年に醍醐天皇、1044年に後冷泉天皇が入湯したといわれている[6][7]。柴石川に沿った谷間に市営温泉「柴石温泉」がある。泉質は、含鉄泉、硫酸塩泉などである。
亀川温泉[編集]
亀川(かめがわ)温泉は、JR亀川駅すぐの海沿いにある温泉街で、泉質はナトリウム・塩化物泉である。大正時代に開院した海軍病院(現・国立病院機構別府医療センター)を中心に発展し、1950年には別府競輪場が開設された。亀川駅の近くには市営温泉「浜田温泉」と浜田温泉資料館がある。一遍上人が九州に上陸した地点と言い伝えられている上人ヶ浜(別府大学駅近く)に、市営温泉「別府海浜砂湯」がある。
引用 : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A5%E5%BA%9C%E6%B8%A9%E6%B3%89
別府温泉 画像 : https://search.yahoo.co.jp/image/search?p=%E5%88%A5%E5%BA%9C%E6%B8%A9%E6%B3%89&aq=0&oq=%E5%88%A5%E5%BA%9C&at=s&ai=FRuvkHUSTi6iLl59Sf34bA&ts=5796&ei=UTF-8
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